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山下作品の大きな特徴は『エネルギーの表現』と言えるのではないでしょうか。

山下良平さんの作品は、絵の具のマチエール(素材感)によって、実際に目に見えることのない、モノの運動や気配、躍動感を表現しています。

これらを表現するために用いられているテクニックは、「粗と密」と言えるのではないでしょうか。これは、実際に目で見ることのできないエネルギーを、「何かの痕跡なのだ」と認識する為の道具立てとして、「粗と密」を用いて表現しているのではないかと感じました。

 

その「粗と密」の関係は、彼の作品の至る所で見ることができます。フラットな背景と密に描かれた人物、絵の具のマチエールがある部分とない部分、筆で描かれた部分とペインティングナイフで描かれた部分などです。これらの「粗と密」の組み合わせによって、作品を目にした者に、それがある一瞬を切り取ったエネルギーの表現なのだと気づかせるのです。

 

彼の作品のレベルの高さは、作品をどう描いたかが分かりにくいということからも伺い知る事ができます。絵の具をおいていった順番はどうなっているのか、人物を描く時にネガティブ(背景側に絵の具をおいて行き、背景側から像を浮き出させる)に描写されている部分がある、一色の絵の具で人物の立体感を見事に表現している、など枚挙に暇がありません。

「どう描いているのだろう?」と分析しながら鑑賞するのも、彼の作品を楽しむ一つの方法なのかもしれません。

 

彼の作品には、webのブラウザ越しや、印刷物として鑑賞するのではなく、実際に本物の作品を肉眼で見てみたいと思わせるようなエネルギーが凝縮されている様に感じました。

(SAMENOSレビュー文より引用)

 

執筆者:見目 智史(けんもく さとし)

所 属:DADA株式会社 SAMENOS事業部

経 歴:東京造形大学 美術科油画専攻 卒業,東京造形大学大学院 造形研究科造形専攻 卒業