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■vol.8 5年後の自分(2006.10.23)
「5年後のお前が今と同じことをしていては、つまらないぞ。」
これは僕が大学卒業後に市の嘱託職員をしていたときの上司の言葉。
22才前後の頃の僕は、絵を一旦あきらめて何か違う道を探してさまよっていた。
大学の専攻が映像関係だったので、映像資料を調査、管理する市の総合図書館で働くこととなり、
日々の雑務に追われながら忙しい毎日を送っていた。
そんなある日、僕は上司に昼食に誘われた。
僕が絵で仕事をしたいことを知っていた上司は単刀直入に聞いてきた。
「そういった夢があるのなら、具体的に何をしてどういうプランをたてているんだ?」
プランなんて何もなかった僕は、その場しのぎの返事をしたと思う。
その後上司は今でも忘れられない冒頭の言葉で僕を批判した。
「5年後のお前が今と同じことをしていては、つまらないぞ。」
けっこう心にズシンと響く言葉だった。
たしかにこのまま職員を続けても5年後は何も変わらないと思った。
まもなく上司は人事異動で図書館を去り、それから僕は目標に向けて、具体的に行動を開始した。
まずパソコンのスキルを身につけ、自分の絵を図書館の刊行物やポスターに
使ってもらうように積極的にアピールした。
仕事が終わると自宅でインターネットを介してイラストの仕事をこなしたり、
仕事が休みの曜日は似顔絵描きのアルバイトをした。キツかったけど、とても充実した日々だった。
図書館勤務も5年が経過し、イラストの収入は当時の図書館の給料を上回るようになっていた。
そして僕はお世話になった図書館を自主退職することとなった。27才のときだった。
それから何年後か、博多のアジア美術館でのアートイベントに参加したときのこと、
僕は作品を売りながら来場者の似顔絵を描いていたら、なんと図書館勤務時代の上司が来てくれたのだ。
ひさびさの再会に感動しながら、上司の似顔絵を描き上げた。
勤務当時は厳しいイメージだった上司は、そのときは終始ニコニコ顔で、やさしい表情の絵に仕上がった。
そして出来上がった絵に満足し、代金を払ってくれた。
僕は上司に独立までの経緯を説明し、上司の言葉がその後の僕の選択に影響したことも告白した。
5年後の自分〜のエピソードは、今の自分にもあてはまるし、これから先も忘れることはない。
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