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■vol.6 お互いの夢(2006.10.12)
僕が中学3年のころ、ある転校生がクラスにやって来た。
彼はロックミュージシャンに憧れていた。
大好きなロックスターの真似をほうきのギターでやってみせるひょうきんなヤツだった。
当時の彼の小遣いではエレキギターは買えなかったので、せいぜい想像のギターを
かき鳴らすのがせいいっぱいだったのだ。
ある日のこと、親友になった彼と漠然と将来の夢を語り合う機会があった。
僕の夢はそのときは画家か映画監督、彼はもちろんロックミュージシャンだと言った。
当時僕の部屋には父親からもらった壊れかけのエレキギターがころがっていた。
それを見た友人が「大切にするから、ぜひそのギターを俺にくれ。」と言った。
僕にとっては使わないよりは使ってくれる人がいるほうが良いと思ったので
こころよくOKした。
そして彼は僕のエレキギターと引換えに、なにやら木製の道具箱のようなものをくれた。
中身はなんと高価な油絵の具セット。
彼が転校する前の学校で使っていたものらしいが中身は十分使える立派なものだった。
当時の僕にとっては油絵の具は手の届かない画材だっただけに、うれしいサプライズだった。
絵描きになりたい僕のために、彼はもう使うことのない油絵の具セットをくれたというわけだ。
それはお互いの夢をかなえるための物々交換となった。。。。。。。
やがてその友人とは別々の高校になり、その後何度か会ったきり10数年が経った。
彼は学生時代にバンド活動をしていたということまでは知っているが、今はどうしているのだろうか。
もしまた彼に会えるのならば、今度は本物のギターを僕の前でかき鳴らしてほしい。
それがファンの脚光を浴びるステージ上だったら最高だと思う。
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